小島きみ子 kojima kimiko


 

●著者略歴

1955年長野県生まれ
所属 日本現代詩人会・中日詩人会・長野県詩人協会
詩誌Eumenides 編集・発行人
詩集 「Dying Summer」(エウメニデス社)・「((天使の羽はこぼれてくる))」(エウメニデス社) ・「その人の唇を襲った火は」(洪水企画)
詩論集 「思考のパサージュ」(エウメニデス社) ・「人への愛のあるところに」(洪水企画)
エッセイ集「Essay・光の帯」(エウメニデス社)
賞 2001年長野県詩人賞・第四十二回中日詩人会新人賞・第十九回山室静・佐久文化賞

 

●HP

ウェブサイト Eumenides U
http://eumenides.sakura.ne.jp/eu/
ブログ ポイエーシス
http://eumenides.sakura.ne.jp/mt/

 

●『その人の唇を襲った火は』あとがきより

 私は、キリスト者ではないのですが、福祉事務所という職場で働く中で、「最善」というものと「愛」についての思いを巡らしてきました。
 個人的には、他者への愛が詩の言葉を用いてどのように表現されるかは、エートスというギリシャ語で「持続的な習慣」を意味するこの言葉が、ドイツ語のエチカを経て、日本語的に詩の表現活動のなかで実践されることだと感じています。送付されてくる無言のメッセージを受け止めたいと思います。雪闇に呑まれていく一片の細雪の、悠久の時間を経て届いた自然からの無言の手紙「リテラ」を「リテラチュール」にすること。灰色の無窮の空からの「リテラ」に言葉を見いだしたいと思うのです。

●『人への愛のあるところに』あとがきより

私の詩活動は、「エウメニデス(恵の女神たち)」という個人で発行する詩誌へゲストを招待して、一緒に詩や散文を書いてきました。言葉による表現を探求しながら、人への癒しの愛のあるところに向かって、詩作する知恵の技術がつながっていくことができたらいいと思っています。  東北の夏祭りをテレビ映像で見ていたのですが、「破壊された姿」というものこそが神というものの姿で、祭りは人間が異形の姿に仮装して「破壊された物=神」を鎮魂するのだと感じました。このとき、「言葉」が顕すものは、破壊された表象を仮装させるのだと思われました。言葉を感じさせる「それ」とか「あれ」になっていること。  詩の背景にある社会言語は、人との関係の回復が大切と思いました。宇宙の書誌を捲る手があるとすれば、現実の幻のなかへ、人間の性を解き、エロス(生)とタナトス(死)を解放させていくことを欲望するだろうと思われます。